1. 視察日・視察先・視察概要
2月5日 ; 佐賀県庁「佐賀県医療情報・救急医療情報システム(99さがネットについて
2月6日 ; 九州発電八丁原発電所「地熱発電について」
; (株)グリーン発電大分天瀬発電所「木質バイオマス発電について」
2月7日 ; 朝倉医師会病院「電子カルテシステム並びに地域医療連携システムについて」
2. 視察内容
【佐賀県庁】
佐賀県では病院の救急患者の受入拒否(理由としては専門家がいない、込んでいるから)のために医療機関への搬送時間が年々伸びている状況を改善するためにIpad(アイパッド)を利用したシステムを構築し、県下の病院や消防本部等の関係機関の協力のもとシステム運用を行っている。その結果、前年度実績(平成22年度)と比較して平成23年度上半期の搬送時間を1分短縮させている。またクラウドシステムの採用により年間の運用コストは4千万円のコストダウンを達成している。また電話での受け入れ確認では3分から5分掛かるがすぐに受け入れ可能か分かるようになっている。
当システムの導入に際しては病院や消防等の現場職員の抵抗がかなりあったようであるが、担当職員が自ら病院や消防本部に出かけていき、少しずつ理解を求めていったようであり、この事業が実施できた成功の秘訣は「現場のキーパーソンを巻き込むこと」とのことであった。
実際の運用方法であるが、患者の搬送状況等の入力は救急隊員が病院搬送後に入力し、病院側の受入可能等の入力は1日に2回行っている。患者の搬送状況等の入力ではタイムラグが発生するが、現場(救急隊員)に負担をかけない方針でそのようにしているとのことであった。またシステム導入に際しての研修については医療機関も含めて約250名に実施したとのことであった。また県を越境することもあるため近隣県(福岡県)の病院には受入結果だけの入力をお願いしていることのことである。Ipadの利用法としては、手話(手話コールセンター;シュアールグループを利用)や外国人とのコミュニケーションツールとして、また管外への車のナビゲーションとしても利用しているようである。それからIpadの電波状況が悪いところについては従来携帯も使えないため割り切っているとのことであった。また手袋をしたままでも操作が可能なように改良がなされている。
システムの構築費については救急システム・災害システム・住民システムの三システムで9,700万円である。当システムを基に全国で同様のシステムが利用され、兵庫県では尼崎が利用している。また群馬県も佐賀県のシステムを参考にして同様のシステムを導入された際には非常に安くで導入ができたようである。
今後の取組みとしては、近隣県との協力を試行し、現在はネットでの運用しているシステムをアプリへとシステム変更する予定であり、ドクターヘリとの協力を目指しているとのことであった。
【八丁原地熱発電所】
当該発電所は出力110,000kw(55,000kw×二基)を誇る日本最大の地熱発電所であります。また八丁原バイナリー発電所(出力2,000kw)も平成18年4月から営業を開始しております。バイナリー発電所のバイナリー発電機はイスラエルのORMAT社である。
地熱発電は化石燃料を全く使わず地下から取り出した蒸気を利用するクリーンな発電であり、再生可能エネルギーのベース電源としても注目を集めています。
合計出力は110,000kwで、年間発電量は約8億7千万キロワット時で、ほぼ20万キロリットルの石油を節約できます。発電所の標高は1,100メートル、蒸気井の深さは3,000メートル、蒸気の使用料は890トンとなっています。
【グリーン発電大分】
当該施設は平成25年11月に商業運転を開始し、敷地面積27,000㎡、発電規模は約5,700kw(送電規模は約5,000kw、700kwは施設内利用)。燃料の年間使用量は6万トン(木質チップ・水分35%)となっている。当該事業に際して、森林業者(福岡員林組合も含め)・素材業者・運搬業者・木材市場業者の計18社で構成する協議会が結成された。
(株)グリーン発電大分は発電事業だけを担い、日本フォレスト株式会社が木材を収集し買取り、㈱グリーン発電大分に販売している。木材は重量により購入している。発電効率は約26%。木材の含水率について、ボイラーメーカーの設計値は約35%であるが、実際には35%±5%とのことである。(株)グリーン発電大分の資本構成であるが、事業をスピード感を持って進めるために、他の資本参加はないとのことであった。ストックヤードには最低でも一か月のストックを持ち、ストックヤード(1~2ha)については横持の運賃が掛かるために一か所の方が良いとのことであった。
【地域医療ネットワークHumanBridge】
朝倉医師会病院は平成20年3月に甘木朝倉医師会病院と医師会立朝倉病院(旧県立消化器医療センター朝倉病院)が合併し開設された病院で、建設費は35億円、総事業費は61億円である。
当該サービスは、中核病院や診療所、介護施設など、地域の複数の医療機関が個別に保持する診療情報、検査結果、医用画像、レポート情報などの患者の情報を、データセンターを中継し、ネットワーク経由でどの医療機関からも確認できるようにするものであり、地域の医療機関は新たにICTシステムを構築することなく、高信頼で安全なクラウド環境のもと、地域全体で患者の情報を共有できるシステムである。
当該システムの導入理由は退院サマリーの到着が遅いことを解消するためのようであった。
ランニングコストは年間約200万円、6年前の導入費用は約1千万円。システムの活用はまだ双方向に至っていないとのことである。現時点では検診や検査等の予約管理は人的に難しいとのことであった。また医師会員の約半数が紙のカルテで診察を行っているとのことであった。医療情報については生死を問わず現在までの全ての患者の診療データ(医用画像データ等も含め)保存しているようである。当該システムの利用者にはコンピュータウィルス対策のためにシステムを入れたパソコンを一台ずつ貸与がされている。
医療情報の共有化に際して問題となる個人情報については医師会病院の構成員が医師会のメンバー(診療所)であることから一つの組織として、患者の申し出制を取ることで問題の回避にあっているとのことであった。
3. 私感
【救急医療情報システム(99さがネット)】
佐賀県のシステムを朝来市や南但消防本部に導入するメリットは今すぐには余りないとは考えるが、当システムの本質は『仕事の見える化』ではなろうか。そういった意味では朝来市や南但消防本部でも検討や研究をする余地はあると考える。またIpadを手話や外国人とのコミュニケーションツールとして活用している点は朝来市でも活用が可能である。因みに手話コールセンターは通常9:00~17:00の間で利用が可能であるが、災害時には24時間対応となるようである。
またIpadの救急現場への導入によってそれまであった大学病院と県立病院の大きな垣根を打破できたようであり、複雑な学閥が存在している豊岡病院組合に属する朝来市にもとっても、一つのツールや一つの目的を共有する過程において従前からの障害を乗り越える事ができる成功事例として、今後に建設が予定をされている(仮称)朝来医療センターに活かして頂きたいと希望するところであります。
【地熱発電】
まず前提として地熱発電を行うには地熱貯留槽が必要となるので地熱を利用できる環境に朝来市があるのかが課題となる。つまりは調査の必要性の検討が必要と考える。しかし電力事業については発電所内に常時協力会社が保全・修理等を行っており、非常に魅力のあるものに映った。
【木質バイオマス発電】
今後に生野町に建設され稼働予定の木質バイオマス発電施設や岩津地区にある旧ごみ処理処分場跡地での利用が検討されている貯木場を考える上では有意義な視察となった。会社代表の明確な説明はなかったが事業の採算性や木材収集の可能性については自信ある話しぶり等の端々から有望であることを感じ取った。
朝来市で検討されている貯木場については木質バイオマス発電施設内でのストックヤードが計画され、ストックヤードは横持の搬送コストを掛けないためにも一か所が望ましい、とのことを考えれば、違った用途での検討が必要と考える。
【地域医療ネットワークHumanBridge】
朝倉医師会立の病院は昭和39年に当時の日本医師会会長武見太郎氏が唱えた病診連携のための医師会病院の設立、に端を発している。その考え方は病診連携の理想ではなかろうかと思う。朝来市は組合立の病院に属してはいるが、医師会病院の考え方や病院運営の仕方には大いに共感を覚えるとともに、今後の(仮称)朝来医療センターを拠点とした朝来市の地域医療の在り方や、市内診療所との病診連携の在り様といったものに大いに参考となった。これからの地域医療は単に医療にとどまらず、介護や福祉といった分野を包括的に結び付ける施策体系や考え方が必要となる。そしてその核となるのは医師会のメンバーである市内の診療所であることは疑いようがない事実である。そういった事を理解した上で新病院建設を考えれば、市内診療所の新病院建設への理解を如何に深め医師会等との協力関係を構築できるかが病院運営や地域医療の成否に大きく影響を与えることは容易に理解が出来る。であるからして、朝来市の地域医療は病診連携構築の成否に懸っているといっても過言ではないことを今回の視察で確信するとともに、今後の私の行動の羅針盤となる視察となった。
以上
2月5日 ; 佐賀県庁「佐賀県医療情報・救急医療情報システム(99さがネットについて
2月6日 ; 九州発電八丁原発電所「地熱発電について」
; (株)グリーン発電大分天瀬発電所「木質バイオマス発電について」
2月7日 ; 朝倉医師会病院「電子カルテシステム並びに地域医療連携システムについて」
2. 視察内容
【佐賀県庁】
佐賀県では病院の救急患者の受入拒否(理由としては専門家がいない、込んでいるから)のために医療機関への搬送時間が年々伸びている状況を改善するためにIpad(アイパッド)を利用したシステムを構築し、県下の病院や消防本部等の関係機関の協力のもとシステム運用を行っている。その結果、前年度実績(平成22年度)と比較して平成23年度上半期の搬送時間を1分短縮させている。またクラウドシステムの採用により年間の運用コストは4千万円のコストダウンを達成している。また電話での受け入れ確認では3分から5分掛かるがすぐに受け入れ可能か分かるようになっている。
当システムの導入に際しては病院や消防等の現場職員の抵抗がかなりあったようであるが、担当職員が自ら病院や消防本部に出かけていき、少しずつ理解を求めていったようであり、この事業が実施できた成功の秘訣は「現場のキーパーソンを巻き込むこと」とのことであった。
実際の運用方法であるが、患者の搬送状況等の入力は救急隊員が病院搬送後に入力し、病院側の受入可能等の入力は1日に2回行っている。患者の搬送状況等の入力ではタイムラグが発生するが、現場(救急隊員)に負担をかけない方針でそのようにしているとのことであった。またシステム導入に際しての研修については医療機関も含めて約250名に実施したとのことであった。また県を越境することもあるため近隣県(福岡県)の病院には受入結果だけの入力をお願いしていることのことである。Ipadの利用法としては、手話(手話コールセンター;シュアールグループを利用)や外国人とのコミュニケーションツールとして、また管外への車のナビゲーションとしても利用しているようである。それからIpadの電波状況が悪いところについては従来携帯も使えないため割り切っているとのことであった。また手袋をしたままでも操作が可能なように改良がなされている。
システムの構築費については救急システム・災害システム・住民システムの三システムで9,700万円である。当システムを基に全国で同様のシステムが利用され、兵庫県では尼崎が利用している。また群馬県も佐賀県のシステムを参考にして同様のシステムを導入された際には非常に安くで導入ができたようである。
今後の取組みとしては、近隣県との協力を試行し、現在はネットでの運用しているシステムをアプリへとシステム変更する予定であり、ドクターヘリとの協力を目指しているとのことであった。
【八丁原地熱発電所】
当該発電所は出力110,000kw(55,000kw×二基)を誇る日本最大の地熱発電所であります。また八丁原バイナリー発電所(出力2,000kw)も平成18年4月から営業を開始しております。バイナリー発電所のバイナリー発電機はイスラエルのORMAT社である。
地熱発電は化石燃料を全く使わず地下から取り出した蒸気を利用するクリーンな発電であり、再生可能エネルギーのベース電源としても注目を集めています。
合計出力は110,000kwで、年間発電量は約8億7千万キロワット時で、ほぼ20万キロリットルの石油を節約できます。発電所の標高は1,100メートル、蒸気井の深さは3,000メートル、蒸気の使用料は890トンとなっています。
【グリーン発電大分】
当該施設は平成25年11月に商業運転を開始し、敷地面積27,000㎡、発電規模は約5,700kw(送電規模は約5,000kw、700kwは施設内利用)。燃料の年間使用量は6万トン(木質チップ・水分35%)となっている。当該事業に際して、森林業者(福岡員林組合も含め)・素材業者・運搬業者・木材市場業者の計18社で構成する協議会が結成された。
(株)グリーン発電大分は発電事業だけを担い、日本フォレスト株式会社が木材を収集し買取り、㈱グリーン発電大分に販売している。木材は重量により購入している。発電効率は約26%。木材の含水率について、ボイラーメーカーの設計値は約35%であるが、実際には35%±5%とのことである。(株)グリーン発電大分の資本構成であるが、事業をスピード感を持って進めるために、他の資本参加はないとのことであった。ストックヤードには最低でも一か月のストックを持ち、ストックヤード(1~2ha)については横持の運賃が掛かるために一か所の方が良いとのことであった。
【地域医療ネットワークHumanBridge】
朝倉医師会病院は平成20年3月に甘木朝倉医師会病院と医師会立朝倉病院(旧県立消化器医療センター朝倉病院)が合併し開設された病院で、建設費は35億円、総事業費は61億円である。
当該サービスは、中核病院や診療所、介護施設など、地域の複数の医療機関が個別に保持する診療情報、検査結果、医用画像、レポート情報などの患者の情報を、データセンターを中継し、ネットワーク経由でどの医療機関からも確認できるようにするものであり、地域の医療機関は新たにICTシステムを構築することなく、高信頼で安全なクラウド環境のもと、地域全体で患者の情報を共有できるシステムである。
当該システムの導入理由は退院サマリーの到着が遅いことを解消するためのようであった。
ランニングコストは年間約200万円、6年前の導入費用は約1千万円。システムの活用はまだ双方向に至っていないとのことである。現時点では検診や検査等の予約管理は人的に難しいとのことであった。また医師会員の約半数が紙のカルテで診察を行っているとのことであった。医療情報については生死を問わず現在までの全ての患者の診療データ(医用画像データ等も含め)保存しているようである。当該システムの利用者にはコンピュータウィルス対策のためにシステムを入れたパソコンを一台ずつ貸与がされている。
医療情報の共有化に際して問題となる個人情報については医師会病院の構成員が医師会のメンバー(診療所)であることから一つの組織として、患者の申し出制を取ることで問題の回避にあっているとのことであった。
3. 私感
【救急医療情報システム(99さがネット)】
佐賀県のシステムを朝来市や南但消防本部に導入するメリットは今すぐには余りないとは考えるが、当システムの本質は『仕事の見える化』ではなろうか。そういった意味では朝来市や南但消防本部でも検討や研究をする余地はあると考える。またIpadを手話や外国人とのコミュニケーションツールとして活用している点は朝来市でも活用が可能である。因みに手話コールセンターは通常9:00~17:00の間で利用が可能であるが、災害時には24時間対応となるようである。
またIpadの救急現場への導入によってそれまであった大学病院と県立病院の大きな垣根を打破できたようであり、複雑な学閥が存在している豊岡病院組合に属する朝来市にもとっても、一つのツールや一つの目的を共有する過程において従前からの障害を乗り越える事ができる成功事例として、今後に建設が予定をされている(仮称)朝来医療センターに活かして頂きたいと希望するところであります。
【地熱発電】
まず前提として地熱発電を行うには地熱貯留槽が必要となるので地熱を利用できる環境に朝来市があるのかが課題となる。つまりは調査の必要性の検討が必要と考える。しかし電力事業については発電所内に常時協力会社が保全・修理等を行っており、非常に魅力のあるものに映った。
【木質バイオマス発電】
今後に生野町に建設され稼働予定の木質バイオマス発電施設や岩津地区にある旧ごみ処理処分場跡地での利用が検討されている貯木場を考える上では有意義な視察となった。会社代表の明確な説明はなかったが事業の採算性や木材収集の可能性については自信ある話しぶり等の端々から有望であることを感じ取った。
朝来市で検討されている貯木場については木質バイオマス発電施設内でのストックヤードが計画され、ストックヤードは横持の搬送コストを掛けないためにも一か所が望ましい、とのことを考えれば、違った用途での検討が必要と考える。
【地域医療ネットワークHumanBridge】
朝倉医師会立の病院は昭和39年に当時の日本医師会会長武見太郎氏が唱えた病診連携のための医師会病院の設立、に端を発している。その考え方は病診連携の理想ではなかろうかと思う。朝来市は組合立の病院に属してはいるが、医師会病院の考え方や病院運営の仕方には大いに共感を覚えるとともに、今後の(仮称)朝来医療センターを拠点とした朝来市の地域医療の在り方や、市内診療所との病診連携の在り様といったものに大いに参考となった。これからの地域医療は単に医療にとどまらず、介護や福祉といった分野を包括的に結び付ける施策体系や考え方が必要となる。そしてその核となるのは医師会のメンバーである市内の診療所であることは疑いようがない事実である。そういった事を理解した上で新病院建設を考えれば、市内診療所の新病院建設への理解を如何に深め医師会等との協力関係を構築できるかが病院運営や地域医療の成否に大きく影響を与えることは容易に理解が出来る。であるからして、朝来市の地域医療は病診連携構築の成否に懸っているといっても過言ではないことを今回の視察で確信するとともに、今後の私の行動の羅針盤となる視察となった。
以上