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Channel: 吉田しゅんぺいの議員日記
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平成28年度6月定例会 一般質問内容

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 議長の許しがありましたので、私、吉田しゅんぺいの一般質問をさせて頂きます。今回は、「市の将来ビジョンを描け!」と題して、「朝来市の将来ビジョンについて」、「少子化対策について」、「経済について」、「高齢化対策について」、「行政改革について」、市長と政策論争をさせて頂きたいと思います。
 先ず初めに、「朝来市の将来ビジョンについて」を伺います。
 
 出版社・宝島社が発刊する「田舎暮らしの本2016年2月号」で朝来市が第4回日本住みたい田舎ベストランキング総合第一位となりました。この事は市内外に朝来市を良いイメージとしてPRする嬉しいニュースでありました。また、朝来市が市外移住者の受入態勢を整えていると共に、市民向けサービスが充実していることの証明とも言える結果でありました。

 しかし、その一方で、実際の移住者受け入れ実績ランキングでは、6組13人の94位という結果に終わっています。この事は市の受入態勢が整っているにも関わらず、移住が進んでいない、受入態勢とその結果に大きな乖離があるということを示唆する結果でありました。また、2015年度の転出者(社会減)数は200名であり、それまでの10年間の平均転出者数と同数という結果になっており、依然として社会減対策が上手くいっていない、人口流出が止められていない現実が朝来市には突きつけられています。また、2015年度の出生数は197人で、新市になって初めて200人を割り込む深刻な結果となってしまいました。

 ですから、住みたい田舎ランキング第一位であると浮かれている訳にはいかないのであります。執行当局や議会の一部にそういった風潮があることを私は危惧します。第2次朝来市総合計画は平成26年度から平成33年度までを礎の期間とするとされていますが、礎どころか砂上の楼閣になりはしないか、総合計画上の施策や創生戦略で新たに考えられた施策(アウトプット)を実施すれば夢のようなアウトカムが論理的・必然的に生まれてくるといった桃源郷を思い描いているのではないか、と危惧する所であります。
 
 1961年、ワシントンでジョン・エフ・ケネディーは名演説で有名な就任演説を行いました。その際に、「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えようではありませんか。」と国民に問いかけました。私はその理念をまさに理想を追求する素晴らしい理念であると感嘆します。

 しかし、今の朝来市に必要なことは市民に何かを求めることではなく、市が市民に何が出来るのか、市が進むべき将来像とはどういったものなのか、市が取るべき正しい選択肢は何なのかを、具体的に、かつ分かりやすく、示す必要があるのではないでしょうか。
 
 市外からの受入態勢が日本一整っているにも関わらず、また市内サービスが充実しているにも関わらず、市外からの転入者は年々減少し、市外への人口流出は依然として止まらず、生まれる子どもはこの10年で大幅に減少し、社会減少と自然減少がどんどんと深刻化している現状は、私たちが誤った政策と施策を展開している可能性を示唆するものであります。
 
 古代ギリシャのヘラクレイトスは「万物は流転する」と言っています。仏法では「諸行無常」と言われます。時代の流れや社会の変化によって、臨機応変に対応する能力が今の行政に求められているのではないでしょか。
 
 それと同時に、将来を見通す力、先見の明が求められています。これはいつの時代の指導者にも求められ、その能力がない指導者のもとでは時間やお金(税金)の浪費という不幸な結果となってしまいます。
 
 2014年3月に策定した第二次朝来市総合計画は国の人口政策に先んじた計画という意味において、先見性をもったものでありました。しかし、人口政策による地域力の向上によって目指すべき将来像「あなたが好きなまち・朝来市」を実現するという考え方は人口政策が成功するという前提条件の計画であり、人口政策による地域力の向上が図れなかった場合の正しい答えと取るべき対応を示していないばかりか、検討すらなされていない計画であります。
 
 私は、人口政策の成功の如何に関わらず、今後も朝来市が持続・継続的に維持されていく、新しい目標やビジョンが必要であると考えます。むしろ人口政策が失敗しても、朝来市や市民生活を守ることができるビジョン、政策や施策を準備することこそ、夢想主義者ではない、現実主義者としての行政の役割ではないかと考えます。
 
 私は、三つの視点で朝来市の将来像を描きたいと考えています。一つ目は『市民が幸せを実感できる朝来市』、二つ目は『市民が健康で長寿な朝来市』、三つ目は『今後も持続可能な朝来市』であります。
 
 幸せとは何か、それは哲学的な問いかけであります。また日本国憲法で保障されている権利でもあります。日本国憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」。国民総幸福量という考え方があります。第三代ブータン国王は、発展のゴールについて「国民の繁栄と幸福」であるという考え方を示しました。そして第四代ブータン国王は、国家の問題が経済成長だけに特化されることを心配し、「ブータンで優先すべきなのはGDPではなくGNH(国民総幸福量)だ」と決めました。幸福とは何か。幸福とは主観的な概念であり、画一的なものではありません。ブータンから始まり、国外ではフランスやイギリス、OECDなど、国内では内閣府や荒川区、新潟市などで幸福度を指標化する取り組みが始まっています。ですから、幸福とは哲学的で主観的、非画一的な概念ではありますが、決して指標化や定性化できないものではありません。私は、『市民が幸せを実感できる朝来市』を目指したいと思います。
 
 現在、日本全国や朝来市では少子・高齢化という課題に直面しています。確かに少子化は人口減少による様々な課題を引き起こす原因でありますから問題であるといえます。その一方で、高齢化は戦前・戦後に現在の繁栄した日本を形成するために尽力して頂いた多くの高齢者の方々が長生きをしているという尊い結果でありますから、誠に喜ぶべきことであります。生命は生まれた瞬間に死ぬことを義務付けられた悲しい宿命をもっています。人もまた死から逃れられないのです。ですから一日でも長く生きて欲しい、天寿を全うして欲しいと願うのは、至極当たり前の真理ではないでしょうか。私は、『市民が健康で長寿な朝来市』を目指したいと思います。

 世界では、人口増加と環境破壊、食料や鉱物、エネルギー等の有限な資源の奪い合いなど、今後の世界を占う上で憂慮すべき課題や問題が山積しています。そうした中で「サステナブル・ソサエティー」という考え方が生まれました。持続可能な社会という意味です。私の好きな相田みつをの言葉に「うばい合えば足らぬ 分けあえばあまる」という言葉があります。そうした精神で全世界や社会は「サステナブル・ソサエティー」を目指すべきではないでしょうか。一方、朝来市でも将来に対する責任を負った行政を行うため、私は、『今後も持続可能な朝来市』を目指したいと思います。

 そこで多次市長に、10年後の市の在るべき将来ビジョンを描けているか、伺いたいと思います。後の質問は申し合わせにより、自席にて行います。


 私は多次市長のこれまでの7年間の市政運営を見ていますと、難しい政治的判断は避けて来られたのではないかと思っています。基金問題然り、入札問題然り、庁舎建設問題然りであります。では朝来市は一体誰の将来ビジョンのもとに進んでいるのでしょうか。私には他の考えのもとに行政が進んでいるように思えてなりません。市の将来を左右する総合計画や創生戦略の将来ビジョンについての基本的な考え方やアウトフレームは市長が示すべきではないでしょうか。それが民主主義というものだと私は考えます。市長の将来ビジョンや考えのもとに行政が進められていないのであれば、市長は誰でも良い事になります。それは間接民主制の否定であります。そこで、市長のガバナンス(統治)に対する考え方を伺いたいと思います。


 続きまして、「少子化対策について」伺いたいと思います。
少子化対策として最も重要なことは何か、伺いたいと思います。お手元に三枚の資料をお配りしています。一つは市の各種統計表で、一つは出生率等のシミュレーション、一つは国立社会保障人口問題研究所の段階別人口推計です。少子化とは子どもの数が少なくなることですから、少子化対策で最重要なことは子どもの数を減らさないようにすることです。つまりは子どもの数に注視するということです。そこから子どもの数を維持するためには何が必要かということになります。子どもは女性から生まれますので、女性数に注視する必要があります。また一般的に子どもが生まれる環境は婚姻であることから婚姻数にも注視する必要があります。ここで女性数の推移を見てみますと、人口減少率よりも女性数減少率の方が高い状況となっていることが分かります。また婚姻数も一貫して下落傾向にあります。これまでの出生数減少率は毎年約1.3%程度(実際には2.3%ですが2015年を除外して補正をしています)、15才から49才の女性数減少率は毎年約1.75%程度です。私がこれまでの実績から試算したシミュレーションでは2025年の出生数は181人から201人の間で、合計特殊出生率は1.47から1.64の間で推計されます。また国立社会保障人口問題研究所の試算を基にシミュレーションしても、2025年の出生数は151人から168人の間で、合計特殊出生率は1.44から1.60の間で推計されます。合計特出生率が約1.4から約1.6の範囲で推移すると仮定すれば、出生数を増やすためには女性数を増やす必要があるということになります。ここで出生数が出生率よりも優位すると考える理由を申し上げますと、合計特殊出生率は15才から49才までの女性の年齢別出生率を合計したもので、年齢別の女性数を分母として年齢別の出生数を分子としたものであり、出生率を維持または高めたとしても出生数が減少するという逆転現象が起きる可能性を否定できないからです。先ほどのシミュレーションも出生数が2015年より減少するにも関わらず出生率が維持または高まる結果となる可能性があります。少子化対策とは子どもの数を維持または増やさないと根本的に是正できませんから、出生率をもとに少子化対策を論じる訳にはいかないということです。そこで私は、朝来市の少子化対策は出生数を維持または増やすことを目的とし、婚姻数を増やす政策と15才から49才の女性数を増やす政策の二つに大別し、婚姻数を増やす政策としては、出会いの場を創出する施策を実施する。また女性数を増やす政策としては、出産年齢の90%超が20才から39才となっていることから20才から39才の女性の意向調査を行う、女性の雇用の場の創出や男女共同参画社会の推進を行う、移動年齢や移動年代の把握をもとに純移動率が増加している20才から24才の女性と純移動率が最も下がる15才から19才の移動理由の把握など、論理的な施策展開を行うために少子化対策の新しい施策体系、つまりはロジックモデルと呼ばれるものに再構築すべきと考えますが、少子化対策として最も重要なことは何か、市長の御所見を伺いたいと思います。


 以上で「少子化対策について」の質問を終わります。

 続きまして「高齢化対策について」を伺います。
 これからの高齢者施策体系はどうあるべきで、何を目指すべきでありましょうか。2014年の高齢化率は31.2%でした。推計では2020年が36.9%、2040年が44.6%となります。65才以上の高齢者数は2020年をピークに、75才以上の高齢者数は2030年をピークに徐々に減少することとなります。つまり今後15年間は高齢化対策に特に注力しなければならないということです。そうした中で、朝来市の高齢者福祉はどうあるべきか、何を目的にすべきか、考える必要があると私は思います。今後10年間の中長期的な視点に立って平成27年3月に策定された朝来市高齢者保健福祉計画では基本理念が「高齢者が生きがいを持って、安心・安全に自分らしく生活ができるまちづくり」とされています。その基本理念を全て否定する訳ではありませんし、時代に即した理念であるとも感じます。しかし、朝来市らしさや特出したイメージがありません。良く言えば優等生、悪く言えば画一的であります。私はもっと高齢者にアピールできるような共感されやすい分かりやすい基本理念や目標を掲げるべきと考えます。私は、一昨年に長野県佐久市を行政視察し、「世界最高健康都市構想・世界最高都市構想実現プランと新しい保健の推進について」を勉強して、「ピンピンキラリ」という素晴らしい言葉と出会いました。「ピンピンキラリ」とはピンピンと長生きしキラリと人生を過ごすといった意味です。私はその考え方やキャッチフレーズを朝来市の高齢者福祉に取り入れたいと考えています。そこで次期の朝来市高齢者保健福祉計画はどうあるべきで何を目指すべきか、また「ピンピンキラリ」という考え方やキャッチフレーズを取り入れる考えはないか、伺います。


 現在の朝来市高齢者保健福祉計画の問題点は、全国の先進自治体が設定している数値目標を設定できていないということであります。その理由は現在の職員数では事務負担が大きいからと考えております。
 そこで次の質問に移りたいと思います。先ほども説明しましたが、今後15年間は65才以上の高齢者数と75才以上の高齢者数が最大となる期間を迎えます。そうした中で2025年までに保健・医療・介護・福祉などのサービスが包括して提供される地域包括ケアシステムを充実・強化し再構築する取り組みを推進するとされていますが、現在の地域包括支援センターの人員で果たして対応が出来るのでしょうか。先日、職員が高齢者とその方の庭先で話しているところを見かけました。その光景を見て私はホッとすると同時に優しい職員の気持ちや対応を感じ取りました。そのことこそが市長が目指されている、心優しい温もりのある市政ではないかと感じます。しかし高齢者との結びつきを強めれば強めるほど、高齢者と向き合えば向き合うほどに、職員というマンパワーが必要となります。地域包括支援センターの業務はどんどんと複雑化し、深化し、多岐化していると理解しています。私は朝来市の地域包括支援センターの取組みが全国でも先進地例として取り上げられていることを知っています。知っているからこそ、現在の地域包括支援センターを充実・強化するためには今まで以上にマンパワーが必要となると考えています。また現時点でも高齢夫婦世帯と高齢独居世帯は増え続けており、今後は現在よりも高齢者施策の重要性が益々増すことは想像に難くありません。しかし単純に人員を増やせと言っても根拠がないと言われてしまうではないでしょうか。そこで比較という意味で朝来市と近隣自治体の人員基準と実人員はどうなっているのか、伺いたいと思います
 以上で「高齢化対策について」の質問を終わります。


統計表
シミュレーション
年齢別推計人口


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