平成29年7月19日
森下議会改革特別委員会委員長 殿
視察先
平成29年7月10日(月)14:00~16:00
三重県四日市市議会 「議会改革の取組みについて」
平成29年7月11日(火) 9:30~11:30
滋賀県大津市 「議会改革の取組みについて」
視察先概況
三重県四日市市
四日市市は三重県北部に位置し、面積は206.44㎢、人口は312,056人(平成29年6月末日現在)である。議員定数は34名。
滋賀県大津市
大津市は滋賀県の南西端に位置し、面積は464.51㎢、人口は343,103人(平成29年7月1日現在)である。議員定数は38名。
視察内容
四日市市議会
正副議長選挙について、平成12年5月臨時会から立候補制を導入されている。その経緯は、従来は会派間調整であった正副議長選出を、議会を代表する顔として、またその重責から、立候補制を導入された。
平成23年5月開会議会から通年議会とされている。
議会の活性化策として、各種委員会や審議会等への参画の見直しを行い、二元代表制の観点から、法律で定められている審議会等に限定された。その結果、平成25年5月開会議会からは、従来の16審議会等への参画が都市計画審議会のみへの参画となっている。
平成23年月開会議会から、議論を明確にするために反論を含む反問権を認め、平成23年3月定例会で可決された四日市市議会基本条例において規定をされている。
一般質問の時間制限を緩和し、一人当たり30分に増やされた。
各定例月議会における議案に対する意見募集について、開会議会初日一週間前に行われる議案聴取会を経て、広報広聴委員会が意見募集議案を決定し、議案をホームページに掲載し、常任委員会等の委員会審議が開始される前に意見募集を締め切り、広報広聴委員会が確認後、各委員に配布をされている。
平成16年11月から市議会モニターを設置されている。
平成27年度から、議会のペーパーレス化を進めるために、タブレット端末の導入をされている。
一人会派は認められていない。
また、議会報告会やシティミーティングにおける市民意見のフィードバックとして、その手順や期限を分かり易く別けたフロー図を作成されている。
大津市議会
議長立候補制について、議長選挙が市民に分かりにくい事から、立候補制を導入し、議長選挙の見える化を平成28年度から実施されている。
政策検討会議アドバイザー制度について、専門的知見を活用するため、大学と地域連携協定を締結し、政策立案機能の向上を図られている。
平成26年11月から、ペーパーレス化による議会運営の効率化と議会の見える化、経費削減のためにタブレット端末を導入されている。その必要性としては、①発言訂正等への的確な対応(議場内通信システム)、庁外情報伝達手段の確保(グループウェア)、議案資料の増大への対応(会議システム)が挙げられている。
平成25年6月通常会議から、通年議会を導入されている。その契機は、平成24年7月に発生した大津市におけるいじめ問題と平成24年8月に発生した大津市南部集中豪雨であった。両事案とも、執行部の対応は後手に回り、議会として執行部の体制・対応を問い質す必要があったが、閉会中で議会としての活動が困難であったために、常任委員会で対応されたとの経験が基になっている。そこで、絶え間なく執行部を監視できる体制や災害等に対する危機管理体制が必要であると判断され、通年議会が導入された。
通年議会のメリット・デメリットであるが、メリットとしては①機動的・弾力的な本会議の開催が可能、②委員会での充実した調査が可能、③議案等の提出・受理を行える期間の制限がなくなる、があり、デメリットとしては、①経費が増大する、②地域での議員活動等の時間が少なくなる恐れがある、③メリハリや緊張感がなくなる恐れがある、との事であったが、実際にはデメリットを実感する事はないとの事であった。
政務活動費交付条例の違反に対する議長の是正命令権について、同条例において明文化されている。是正命令権行使実績はないとの事であった。
平成26年3月に地方議会として初めてBCP(業務継続計画)を策定された。その中では、議会災害対策会議の設置及び議員の行動基準が明記され、タブレット端末を活用した情報収集なども具体的に記載されるなどしており、議員は携帯ハンドブックと安否状況確認カードの常時携帯を定められている。議会BCPの策定目的は、議会機能の維持であり、議員の非代替性がその根本にあるとの事であった。
私感
正副議長選挙の立候補制については、朝来市議会としても導入すべきである。
各種審議会等への参画については、朝来市議会も再検証すべきである。
通年議会は、議会改革の本丸であり、次期議会任期から開始すべきである。
一般質問の時間については、一般質問が議員に与えられた市長との政策論争の場である事を鑑みれば、充実させる方向の改善を検討すべきと考える。
各定例月議会における議案に対する意見募集については、市民の議会参画に寄与するとともに、議員は住民の代表である事から、導入すべきと考える。
市議会モニターは、設置すべきである。
タブレット端末の活用によるペーパーレス化は、時代の趨勢や要請に因り、導入に向けた検討をすべきと考える。
議会報告会やシティミーティングのフロー図化は、現在の場当たり的な対応をしている現状を改善するために必要な作業であると考える。
一人会派については、その意義を再検証すべきと考える。
政策検討会議アドバイザー制度については、その導入の可能性を含めて検討すべきと考える。
政務活動費に関する議長の是正命令権については、明文化を含めた議論が必要と考える。
議会のBCPについては、その考えを取り入れる形で現在の体制などを再構築する議論が議会としては必要とされていると考える。
尚、各種審議会等への参画、タブレット端末の活用によるペーパーレス化、議会報告会やシティミーティングのフロー図化、政務活動費に関する議長の是正命令権、議会のBCPについては、従来からの所管である議会運営委員会にその議論を委ねるため、当委員会から要請すべきと考える。
議会改革特別委員会委員 吉田俊平