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Channel: 吉田しゅんぺいの議員日記
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管外視察報告書

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1. 視察日時・視察先
① 平成28年1月20日 13:00~14:30
長崎県大村市
「農業基本条例と農業基本計画及びおおむら夢ファームシュシュ(資料だけ要請)について」
② 平成28年1月20日 16:00~17:00
長崎県庁
「あじさいネットについて」
③ 平成28年1月21日 9:00~11:00
長崎県長崎市
「市役所カワルプロジェクトについて」
2. 視察内容
《農業基本条例と農業基本計画について》
 大村市農業基本条例は、「農業・農村は安全な食料の安定供給のほか、水源涵養や景観形成、環境保全など様々な機能を有している。しかしながら、近年の著しい社会経済情勢の変化の中で農業及び農村を取り巻く環境も厳しいものとなっている。さらに、農業者の高齢化、後継者不足、農地の減少など多くの問題が生じている。従って、今後の大村市の農業・農村の振興と発展を図っていく為には、市民一人一人が、農業は本市の基幹産業であることを認識し、農業及び農村が市民生活に果たしている役割の重要性について理解を深めながら、地産地消をさらに進めていく必要がある」とし、大村市の食料・農業・農村のあり方についての基本理念及びその実現に必要な基本的施策を定めることにより、大村市の農業・農村が持続的に発展し、豊かで住み良い地域社会の実現に寄与することを目的に制定された。
 農業基本計画は、前述の農業基本条例に基づき策定される計画で、大村市の農業・農村に関する施策を計画的に推進するための指針として位置付けられるものです。その基本目標は三つあり、基本目標1・「安全で安心な農産物の安定供給」、基本目標2・「安定した農業経営体の育成」、基本目標3・「農村地域が持つ多面的機能の活用」を実現することで、将来像の「ともに支えあう食と健康と活力ある農業」を目指されている。基本目標1には基本施策1・「食の安全・安心の確保」、基本施策2・「地産地消の推進」が掲げられ、基本目標2には基本施策3・「担い手の育成」、基本施策4・「農地の保全と有効活用」、基本施策5・「生産性の向上」、基本施策6・「収益性の高い農業経営」が掲げられ、基本目標3には基本施策7・「自然と共存する農村の実現」、基本施策8・「都市交流型農業の推進」が掲げられている。
 本計画の参考とされた自治体は久留米市との事であった。
 本計画の策定に際し、農業基本計画審議会が設置されており、女性委員の割合は41.2%と高い。
 また特筆すべきは、数値目標を設定している事である。達成すべき数値目標として、①GAP取組農家数、②大村産農産物の使用率(食品関連事業所)、③農業生産額、④担い手数(50歳未満)、⑤新規就農者数、⑥経営耕地面積、⑦農地の斡旋面積、⑧農業所得600万円以上を目指す認定農業者、⑨鳥獣による農作物被害額、⑩農業体験参加人数、とされていた。もう少し詳しく見てみると、②の大村産農産物の使用率については、市内のランダム抽出された食品関連事業所に対するアンケートに基づく結果とのことであった。
 また大村市農業経営チャレンジ支援事業は、1.新規就農チャレンジ事業として、①農業大学校修学奨励金、②経営開始支援事業補助金、2.農業経営向上チャレンジ事業として、①高品質化研究支援事業補助金、②農地利用促進支援事業補助金、③農業経営改善支援事業補助金、④家族協定締結奨励金、3.経営規模拡大資金融資事業として、①経営規模拡大資金がそれぞれ用意されており、農作物の品種改良・向上を図るための調査研究費等の一部を助成する高品質化研究支援事業補助金が一番活用されているとのことであり、また経営規模拡大資金融資事業については、運転資金でも可となっていた。
 おおむら夢ファームシュシュであるが、都市と農村の交流拠点施設としての役割を果たしており、施設来訪者は年間約4~50万人とのことであり、大村市の観光入込客数約110万人の半数近くを占める重要施設となっていた。
 また同施設は、6次産業化も目指されているが、加工については委託の方が効率的とのことであった点は、示唆のあるものとなった。
《あじさいネットについて》
 あじさいネットの概要であるが、事業主体はNPO法人長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会(事務局;長崎医師会)で、システムの概要としては、診療所や病院が情報提供病院のカルテ、各種検査結果、X線やCT、MRI等の検査画像等を暗号化し、インターネットを経緯して、閲覧し、日常診療に利用するサービス(医療に特化した高セキュリティーネットワーク及びサービス)となっている。
 長崎県の支援目的としては、地域の拡大と機能の拡充を目指し、県内全域で利用できる医療情報連携ネットワークの構築を目指されている。
 当該システムのメリットとして、①医療機関に分散保存されている診療情報を、IT医療連携により医療リソース(医療資源)を有効活用できる。②あじさいネットの利用(過去の診療情報)が診断支援となる。③あじさいネットの利用(紹介後の診療経過の把握)をモニタリングすることで、教育効果がある。以上のように、かかりつけ医(診療所機能)のサポートを行うことで、地域医療全体の質の向上につながる。
 また患者側のメリットとして、①複数の病院に分散した自分のカルテをかかりつけ医で閲覧できる。②紹介後もかかりつけ医が経過を見守っているとの安心感が得られる。③基幹病院で聞けなかったこと(検査の結果、処方の詳細等)について、かかりつけ医から改めて説明を受けることができる。④同じ検査を重複して受ける必要がない。
 あじさいネットの今後については、従来の機能(遠隔画像診断システム、周産期支援システム、テレビ会議・eラーニングシステム、在宅医療支援システム、糖尿病支援システム、診療情報バックアップ機能など)に加え、小児発達支援システム、疾病管理システム、講演・カンファレンス中継システム、薬局連携、在宅連携(iPadの活用、服薬指導)、訪問診療データ、検査データ共有システム(診療所で行われる検査データを臨床検査会社から直接あじさいネットデータセンターに取り込む)など、高セキュリティーネットワーク基盤に新機能を追加される構想とのことであった。
《市役所カワルプロジェクトについて》
 しごと改革の沿革として、平成19年4月に田上市長就任し、公約は「地域力・市民力・職員力で、元気で暮らしやすく、魅力的なまちへ」であった。平成19年8月に総務部職員推進室を発足。平成20年4月、総務部職員研修所を統合し、平成23年8月に「しごと改革室」へ改編(市長直属の所属)し、「しごと改革プロジェクト」を発足した。平成25年4月に職員研修業務を人事課に移管、平成25年7月に「市役所カワルプロジェクト」へ名称変更。
 市役所の目指す姿を、自立(自分たちの責任と判断のもと行動する)、協働(市民の皆さんや企業などと一緒に取り組む)、創造(今の時代に合わせたルールや仕組みを創り出す)とした。市長が重視されているのは、プラスα価値創造である。
 取組方針として、①イキイキと活躍する職員【職員力】、②チーム一丸となって目的・目標を達成する職場【職場力】、③職員と職場(組織)の力を成果につなげるしくみ【経営力】を掲げられている。
 具体的な取組みとして、1.【イキイキと活躍する職員】として、①経営幹部とのキックオフミーティング、②同世代カフェトーク、③まるかじり講座、④しごとの実践に結び付く研修の充実、⑤職員の能力と実績が一体となった評価、2.【チームが一丸となった目的・目標を達成する職場】として、①部・課長オフサイトミーティング、②課内オフサイトミーティング、③ミーティングリーダーファシリテーター)の養成、④部課長メンバーゼミ、⑤組織活性化プラン、⑥職員意識調査、3.【職員と職場(組織)の力を成果につなげるしくみ】として、①PDCAサイクルの確立、②職員提案制度の見直し、改善、③人材育成ビジョンの明示、を実施している。但し、1の④と⑤については人事課が所管しているが、④の研修内容や⑤の評価項目等についても「しごと改革室」が提案等で関わっているとのことであった。
 その他に、改善報告や自由提案を内容とする職員提案制度があり、また市長と職員が一緒に手弁当を食べながら意見交換を行う市っぽく手弁当会議の実施されている。また、庁内の頑張っている職員にスポットをあてた記事や、「市役所カワルプロジェクト」や「職員提案制度」など「しごと改革室」での取組みを紹介する庁内報「なるほど・ザ・職員力」も出されている。
 最後に「2(やる気のある職員)・6(どちらでもない職員)・2(やる気のない職員)の法則」により、やる気のある2割の職員で6割の職員を動かし、全体で8割の職員に働きかけ、改革を成し遂げたいとのことであった。
3. 感想
《吉田 俊平》
「農業基本条例と農業基本計画について」
 大村市を視察して感じたことは、朝来市との危機感の違いである。大村市は毎年500人の人口が増加している全国でも珍しい移入超過自治体である。そして、平成21年の大村市の総生産額は2,653憶円で、農業産出額は28億円である。率にして1.1%である。一方の朝来市は総生産額1,093憶円、農業生産額は21億円で、率にして1.9%である。つまり大村市に比して農業に対する依存度が高いにも拘らず、朝来市の農業に対する姿勢や取り組みは不十分と言わざるを得ない。このまま農業に目を向けずに切り捨てて行くのか、それとも農業対策をしっかりと行うのか、今後に朝来市に対して自明の結論を求めていかなければならないと感じた。
「あじさいネットについて」
 医療情報・医療資源の共有インフラ整備は、地域医療の充実を目指す私が求める政策の大きな一つである。過去に朝倉医師会病院の「電子カルテシステム及び地域医療連携システム」、佐賀県の「救急医療・ICT医療連携推進事業」についても視察している。朝来市の地域医療の充実のため、また今後のICTへの対応のため、朝来市も医療圏域のプレイヤーとしての責任を放棄することなく対応していく必要性をこれまで以上に感じた視察となった。
「市役所カワルプロジェクトについて」
 同市のプロジェクトは示唆に富む、そして朝来市に今すぐにでも必要なプロジェクトである。しかし、今の朝来市の素地では、結実しないと感じた。その理由は、市長のリーダーシップの欠如や思い描く将来像の欠落である。また、職員の人事評価制度の不十分さからも、功を奏さない可能性が高い。その理由は、徹底した人事評価と徹底した職員管理が出来ていないため、腐ったミカンの論理になりかねないからである。結局のところ、今の朝来市のぬるま湯体質をドラスティックに変えるための本質的な変革がおきないことには単なる自己満足や猿まねに終わってしまうであろう。その本質的・根本的な問題に目を向け、将来の朝来市のためのドラスティックな変革を今の朝来市や朝来市民は求められていると私は考える。

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