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Channel: 吉田しゅんぺいの議員日記
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管外視察報告

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平成28年7月13日~15日に管外視察を行いましたので、下記に報告します。
1.視察日時・視察先
①平成28年7月13日(水)午後1時00分~午後3時30分頃
伊達市役所 
「健幸都市とスマート・ウェルネス・シティについて」
②平成28年7月14日(木)午前9時30分~午前12時00分頃
郡山市役所
「子育て支援事業と子ども総合支援センター、産後ケア事業について」
③平成28年7月15日(金)午前9時00分~午前11時30分頃
会津若松市役所
「議会改革の取組みについて」
2.各市の概要
《伊達市》
 伊達市は、福島県の北部に位置し福島市に隣接している。面積は265.1㎢。人口は62,683人(平成28年4月1日現在)。一般会計の歳出規模は333億3800万円。議員定数は26名、2名欠員。
《郡山市》
 郡山市は、福島県の中央に位置する。面積は757.2㎢。人口は326,987人(平成28年4月1日現在)。一般会計の歳出規模は1346億9千万円。議員定数は38名。
《会津若松市》
 会津若松市は、福島県の西部に位置する。面積は383.03㎢。人口は123,233人(平成28年4月1日現在)。一般会計の歳出規模は468億5700万円。議員定数は30名。
3.視察内容
《伊達市》
 福島県伊達市の「“健幸都市”を目指して~福島県伊達市の取組み~」については、市長のトップダウンで取り組みが始められた。当初は庁内調整に苦慮されたことの事であった。伊達市はCCRCも取り組まれている。健康づくりの3大要素は、筋力トレーニング・ウォーキング・ストレッチであり、中山間地域では成人病の確率が高くなるようであるが、この取り組みは市長の指示で、新潟県見附市の取組みを真似る事から始められ、7回ぐらい視察をしたとの事でもあった。
先ずは歩数計を使った運動教室を開始された。運動教室は筑波大学久野教授の指導のもと、ウォーキングマシンやトレッドミルを使い、e‐wellnessシステム(参加者10万人の蓄積されたデータとITを活用した科学的根拠に基づく個別健康支援プログラム供給システム)を通じて教室時に歩数や体組成データを取り込んで、エビデンスに基づいた運動教室を行っている。また元気クラブ(高齢者筋力トレーニング)は、福島大学安田准教授の指導のもと、現在では6施設で展開されている。
 平成21年にはSWC(SmartWellnessCity)首長研究会に参加し、「健康政策」「まちづくり政策」を統合し、「健康なまちづくり政策」を目指されている。
 平成22年度にはモデル地区を2地区(市街地と中山間)設定したが、同年3月11日に東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故が発生し、災害対応業務に追われる日々が続いたようである。しかし、平成23年度に市長が“Business as usual”と指示され、スマート・ウェルネス・シティーの取組みが再開された。同年11月3日(3月11日の反対の日と言った意味)に健幸都市宣言がなされた。しかし12月にモデル地区で反対運動ビラが100枚も貼られ、反対署名が3,000人にも上った。そこで13回の住民説明会が行われ、健幸都市や新たなまちづくりへの理解を求め、住民との合意形成を図られた。 平成24年度に伊達市健幸都市基本構想が策定され、平成25年度に伊達市健幸都市基本条例が制定され、翌26年度には伊達市健幸都市基本計画が策定された。その流れに伴い平成25年度に伊達市道路構造条例が制定されている。
 伊達市基本構想では、「安心して子育てができ、安心して歳がとれるまち」を目指し、Ⅰ健康づくり~健康をうながすまち~、Ⅱ暮しづくり~自然と歩きたくなるまち~、Ⅲひとづくり~健幸マインドのまち~、と方向性が示された。
 健康づくりとして、集会所単位の元気づくり会が導入されたが、これも市長の三重県いなべ市の取組みを真似しろとの指示に基づいている。平成26年に5ヵ所を開設し、現在までに53ヵ所まで拡大されている。
 また東北初の協会けんぽとの事業連携基本協定が締結され、健康データの一元化や健診・医療データの分析、住民の健康増進に向けた協働事業推進が行われている。健康データ等は伊達市内の事業所から抽出されているが、被保険者が市民ではない場合もあるため、住所地に変更する方向で調整中であるが現在は滞っているとの事であった。
 暮しづくりとして、市街地のモデル地区ではハード整備が都市再生整備計画によってなされた。事業費は7億円から8億円で、補助率の平均は約20%。都市再生整備計画の計画づくりでは住民も公募委員として参加し、反対運動の中心的人物も参加したが、その後に理解者としての役割を果たしたとの事であった。その際、ライジングボラード(時間に応じて路面から車止めが自動で昇降する)は採用しなかった(日本では新潟市と岐阜市)。イメージハンプ(立体路面標示、舗装の色や材料を一部分だけ変え凹凸があるように見せかけたもの)や歩行者用路面標示、ポケットパークは整備され、一部路線は県警によって30㎞に制限されている。ソフト事業としては各種のイベントが行われ、歩く事に誘導している。また市民の交流拠点、掛田まちなかサロン「Yottemi(ヨッテミ)」が整備された。また掛田高齢者専用共同住宅が整備され、1名が入居されている(全戸数6戸)。近隣には24時間居宅サービス事業所(医療機関等)がある。中山間のモデル地区ではソフト事業が展開されている。モデル地区での成果を活かした全市展開として、伊達マルシェと健幸器具の設置が行われている。
 ひとづくりとして、健幸都市推進のための庁内体制の整備や6市連携の健康ポイントプロジェクトが実施されている。参加者は約1,500/40,000。参加者の歩数は開始3ヶ月で1,382歩増加(参加時5,905歩、三か月後7,287歩)したようである。厚生労働省の目標値は9,000歩で、伊達市民の平均は6,000歩との事であった。
 新たな事業として平成28年度は、日本郵政とウェアラブル+ipadを活用した連携事業実証実験をされている。
《郡山市》
 郡山市役所の「子ども総合支援センター ニコニコ子ども館」は、平成17年度に先進地視察が行われ、平成21年4月1日に開所し、平成26年3月29日にリニューアルオープンしているが、元々は福島県教職員共済組合の宿泊施設であったものを郡山市が購入し、改修したものである。
市内の子育て支援センターは「ニコニコ子ども館」の他に、4施設があり、休館日が重ならないようにされている。職員体制は「ニコニコ子ども館」だけで臨時嘱託職員を含め78名体制である。建設事業費は12億1036万3千円であり、リニューアル費用は952万5千円で、運営経費は6228万4千円である。その予算はこども支援課予算(約90憶円)の0.69%である。一日の利用者は717名で、年間は24万人の利用がある。
 一階はニコニコ遊びのフロアとして、プレイルームやニコニコ広場(屋外)、子育て支援室、ファミリーひろば(保育士が常駐する親子の交流広場)やファミリーサポートセンター等がある。
 二階は子どもの健康と福祉のフロアとして、施設管理窓口や給付窓口(児童手当やこども医療費助成等の窓口)、一次保育室や健診等を行う多目的ホール、情報展示コーナーがある。
 三階はニコニコ体験活動フロアとして、サンサンひろば(屋外)やこども体験活動室(工作や昔遊び等の子どもの体験活動を行う)、ふれあい交流室(不登校児童等の交流の場)や世代間交流室(子どもと高齢者等の交流事業等を行う)、ボランティア活動室(子育て支援者の活動の場を提供)がある。
 四階はニコニコ親子学びのフロアとして、子育て図書館やおはなしの部屋(絵本の読み聞かせや紙芝居を行う)、事故予防モデルルームや運動体験コーナー、キッズシアターがある。    五階は子ども相談と教育支援のフロアとして、ふれあい学級(不登校児童への生活・学習支援を行う)やすこやか学級(学校不適応児童への個別指導を行う)、子ども家庭相談室やカウンセリング室・相談室、教育委員会の総合教育支援センターがある。
 PEPkidskoriyamaは、スーパーの空き店舗を活用し、民間事業所の協力のもと(土地建物の無償貸与等)、子どもの屋内運動施設として平成23年12月に開設され、利用者は年間30万人、利用者は市外の利用者が2~3割という施設である。敷地面積7000㎡、床面積2400㎡。施設開設に伴う市の支出額は1000万円未満との事であった。利用料は無料である。
 施設運営は、NPO法人郡山ペップ子育てネットワークに業務委託し、運営費8000万円との事であった。施設では「遊び」を熟知したプレイリーダーが遊びをサポートし、体の発達段階に応じた「36の動き」を取り入れ、子どもたちの遊びに対する意欲や運動効果を取り入れている。館内は、「ペップアクティブ」・「ペップコミュニケ―ション」・「ペップキッチン」の三つのエリアに分かれている。「ペップコミュニケ―ション」はセミナースペースとなっており、各種イベントを開催している。「ペップキッチン」は「食べる」ことの大切さと「作る」ことの喜びを、実際に料理しながら楽しく学べる施設です。利用者は親子の個人利用と、予約を要する幼稚園や保育所の団体利用からなる。
 郡山市の産後ケア事業は、平成26年度から事業を開始している。実績は平成27年度ショートステイ8名35日、デイケア35名51日で、平成28年度は現在までショートステイ7名38日、デイケア25名30日となっており、年々利用が増加している。
 産後ショートステイは産後ケア施設に母子ともに宿泊し、母子の健康管理、育児方法の指導等を実施し、産後デイケアは産後ケア施設に母子ともに通所し、母子の健康管理、育児方法の指導等を実施している。市の支出額はショートステイ1日21,600円(消費税含む)、デイケア1日8,100円(消費税含む)である。
 郡山市の産後ケア事業の特徴は、産後ケアの設置が困難であった事から、市内医療機関等への委託によって事業実施を行っている点である。当初は体制整備として利用者の有無にかかわらず一定額を委託料として支払っていたが、現在は上記の利用実績による精算を行っている点も、医療機関側からすればメリットのある、産後ケア事業に参入しやすい環境整備であった。
予約は「ニコニコ子ども館」を通じて行うか、直接医療機関に確認を行う方法があり、現時点ではインターネット等を活用した空きベッドの確認や予約は行っていないとの事であった。
 今後の取組みや課題として、郡山版ネウボラの実施により更に切れ目のない支援を実施、医療機関の空きベッドの情報共有化、アンケート等による事業の評価及び各施設におけるケアの質の確保、アウトリーチ型サービスの検討、があるようである。ネウボラとは、フィンランド語で“ネウボ(neuvo)=アドバイス”“ラ(la)=場所”という意味で、妊娠から出産、子どもが生まれた後も基本的には6歳まで切れ目なくサポートを提供する総合的な支援サービス。
《会津若松市》
 会津若松市の議会改革は平成19年5月臨時会の(初議会)での議長選挙での議長候補者の議会改革への考えと新議長の議長提案(会津若松市議会における議会改革について)から始まった。
議会改革の基本フレームは、議会制度検討委員会(委員数は7名で市民公募委員1名と学識経験者1名が参加している)が設置され、議会基本条例と議員政治倫理条例の制定、理論研究や事例研究、市民参加や内部調整との事であった。
 そして、会津若松市議会の「議会基本条例で実現する市民参加型政策サイクル」は、意見交換会と政策討論会から成っている。
 意見交換会は地区別意見交換会と分野別意見交換会の2種類があり、朝来市で言う所の議会報告会と一般会議に当たる。
 地区別意見交換会は、広報広聴委員会が所管し、年に2回、市内行政区20地区の中から15地区を対象として、1班6人5班編成とし、1班が3地区を回る。班編成は、広報広聴委員会、所属常任委員会、所属会派、当選回数等を基準とし、事務局で選定し、会派代表者会議を経て、議長が決定している。また班には代表者を置き、代表者(事前に指定された者)が事前に開催地区にて課題を聴取して、臨まれている。個人意見は述べず、求められた場合は意見交換会終了後に議員に直接質問して貰うようにする事になっているようである。また各班では2~3回の事前打ち合わせが行われている。また報告書は定められた様式に従い、電子データにて提出されている。議会活動の報告は5分~10分で、多くの時間は市政・議会運営に関する意見交換会に費やしている。意見や提言、要望への対応は、フローチャートによりルール化・明文化が図られている。
 分野別意見交換会は、広報広聴委員会が担当主体を調整・決定し、議長にする事と報告となっている。
 政策討論会は、課題等への共通認識・合意形成による政策形成を目的にし、政策討論会の種類は、「全体会」、「4分科会(総務委員会、文教厚生委員会、産業経済委員会、建設委員会)」、「議会制度検討委員会」となっている。
 政策討論会の基本手順は、問題分析として①問題分析のための論点抽出(政策討論会で議員間討議)→②分析ツールのインプット→③論点整理(政策討論会で議員間討議)、政策立案として①仮説の立案→②仮説検証のための政策情報のインプット→③仮説検証のための議員間討議→④検証結果を踏まえた説明責任の遂行→⑤検証仮説を踏まえた政策立案等、となっている。
 また会津若松市議会の特徴として、常任委員会における議員間討議も特筆すべきものである。議案の内示(招集日8日前)後、事前の調査や検討を経て、招集日散会後に各分科会で議員間における論点整理と確認がなされ、議案提案後は議員間討議を踏まえた論点を当局に質疑し、争点があれば論点の再整理と議員間討議を経て、討論・表決に至る事となっている。また付帯決議や要望的付帯意見も合意が得られそうなら行われている。
  
4.感想
《吉田俊平》
 伊達市の取組みは私が目指す「市民が健康で長寿な朝来市」に通ずるものであった。しかし視察した印象は未だ未だ道半ばというものであった。また説明資料の中で、e‐wellnessシステムで運動群と非運動群の医療費比較を行っていたが、単純に比較しても群の属性に左右される要素が多く、事実同一群での医療費の推移は逓減ではなく増加であった事から、効果測定や効果把握に疑問が残るものとなった。しかし、東北初の協会けんぽとの事業連携基本協定は朝来市も実施できるものである。またエビデンスに基づく運動教室や健康ポイント事業等は健康を運動(歩く事)と単純化し歩数計によるアウトプットの把握を単純化している事は手法として大いに参考にすべきであると感じた。また、市長の具体的な指示によって行政や組織が動いているという事実は組織の在るべき在り様を示された思いがした。
 郡山市の産後ケアは存在している医療機関を活用している点に特徴がある。朝来市の場合は、朝来医療センターや八鹿病院との連携、市内医療機関等との連携によって施設整備を行わず、産後ケア事業が提供できる可能性があり、事業実施の可能性を検討すべきと考える。また、子どもの屋内運動施設は集客力があり、観光施設の側面も有しており、子育て支援センターの限定的機能を有する施設整備と併せて検討する価値はあると考える。また、フィンランドのネウボラを参考にして、国が「子育て世代包括支援センター」の整備を目指している事は朝来市としてもいち早く取組み同様の施設を整備すべきであり、今回の視察が研究を深めるきっかけになった事は大いに有意義であり、今後の議会活動に活かしていきたいと考える。
 会津若松市議会の議会改革について、朝来市議会と比較し落胆する事ばかりであった。先ず、議長選挙に所信表明の機会が持たれている事。現在の朝来市は所信表明の機会はなく単に票のやり取りだけで議長が選出されている。また、議員間討議も論点整理をなされているが、朝来市議会は論点整理がなされていないので討議と言うより個々人の単なる意見表明である。また、意見交換会は市民意見の広聴によって政策サイクルにつなげようとする取り組みであるが、朝来市の場合は単に市政のステレオ放送をしているに過ぎない。また意見交換会の前には打ち合わせを行い開催地区に赴き課題等を把握しておられるが、朝来市の場合は議員や職員の負担を減らす事とだけに執着している事は甚だ情けない事である。また市民からの質問や要望等へのルール化(30日以内)や明文化、フロー化がなされているが、朝来市はルール化・明文化もなされていないので市民からは議会に対する不満を生じさせている可能性を強く疑わざるを得ない体制となっている。最後に、議員となった元職員の方が職員在籍時に議会の変革を感じたと述べられていた事は非常に印象に残った。朝来市議会も市民や職員に実感して頂く議会改革が必要でありそのための努力をしたいと思う。                

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