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Channel: 吉田しゅんぺいの議員日記
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産業建設常任委員会管外視察報告書

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1.視察先
平成30年1月17日(水) 
静岡県富士市役所
 「富士市産業支援センター(f-Biz)の取組について」
平成30年1月18日(木) 
静岡県藤枝市役所
 「エコノミックガーデニング事業について」

 

2.視察先概況
イ)静岡県富士市
 富士市は、静岡県の東部に位置している。人口は256,126人(平成29年4月1日現在)。行政面積は244.95㎢。議員定数は32名。
ロ)静岡県藤枝市
 藤枝市は、静岡県の中央に位置している。人口は146,233人(平成29年3月31日現在)。行政面積は194.03㎢。議員定数は22名。

 

3.視察内容
イ)富士市産業支援センター(f-Biz)の取組について
 2017年秋の時点で全国19自治体と2金融機関がBizとして取り組み始めている。
 既存の産業支援センターには問題点があり、失敗の三原則として整理されるとの事であった。①目標設定がない、②責任の所在が不明確、③ニーズを汲み取った運営をしていない。
 また、公務員の特徴として、①やってもやらなくても報酬があるという問題点によって、②モチベーションの低下や維持が非常に困難であるとの指摘があった。
 しかし、ビジネスコンサルティングは結果が全てで、相談件数がそのバロメーターであるとの事であった。
 当センターの相談件数は2016年で約4400件、その9割が口コミで、増加率は年20%であった。
 また、2013年8月からの実績は、173組の創業と382人の雇用を創出している。予算は、約6,500万円、その20%は創業支援で、廃業率は8%との事であった。
 ビジネスコンサルティングは、問題点よりも成長点を探る事にその要諦があるとの事であった。
 また、企業誘致には膨大な費用が掛かる、ネットワークはメリットにより創られるとの指摘があった。
 高度なコンサルティングの業界募集は少なく、人材は公で雇うべきである。
 Bizでは、約300万円を掛け、全国公募を行い、150~400名の応募者からピッカピカの一人を選考している。選考は、実事例を商工業者である選考委員が質問しコンサルティングさせる実体験面接で行われているようである。
 その報酬1,200万円はプロフェッショナルとしての最低ラインとの事である。
 センター長に求められる要素は、①ビジネスセンス、②コミュニケーション能力、③情熱である、との事であった。
 目標値やKPI等については、①センター長が設定するセンター自体を管理する指標、②センター長を評価する指標、の二種類があるとの事であった。
ロ) エコノミックガーデニング事業について
 エコノミックガーデニングの推進は平成26年度から相談窓口である「エフドア」を開設し始められた。
 エコノミックガーデニングとは何かとの問いに、創業・起業を活性化させる事との事であった。
 具体的な実施事業については、従来通りの専門家紹介にとどまっている。
 これまでの実績及び成果は、民間事業所数や民間従業者数、地価公示価格や路線価、駅周辺新規出店数や中心市街地人口などを挙げておられたが、人口が南海トラフ地震対策の影響で焼津市等の臨海地域からの流入によって増加している事から、エコノミックガーデニングの成果や実績とは言えない結果であった。
 その一方で、ビジネスコンサルティングのバロメーターである相談件数は、平成28年度には延べで256件、実件数で108件と低調である。因みに、暦年度では、平成26年度235件、平成27年度346件、平成28年度256件と、開設時からは殆ど変らず、二年目からは大幅にその件数を減じている。
 藤枝エコノミックガーデニング推進戦略会議は、産・学・金・官で、年4回実施し、情報共有や情報交換、意見聴取を目的に行われている。
エフドアの体制は、産業コーディネーターが1名(市職員)、運営スタッフ2名(民間委託)で、コーディネーターは企画から運営スタッフと連消しているとの事であった。その予算は約1,000万円であるが、その他に委託費で約600万円。
 コーディネーターの選定は、公募ではなく競争のない紹介となっている。
 定期的な企業訪問はおこなっていない。
 コーディネーターに求められる能力はとの問いに、人的ネットワーク(人脈)と資格の回答があった。
 具体的な目標値は、創業者25人/年、相談件数300件/平成28年度。
 エコノミックガーデニングのアウトカムは設定していないとの事であった。
 センターでの人材育成や同様のセミナー等はしていないとの事であった。


4.私感
イ)静岡県富士市
 先ず、小出センター長の能力の高さに驚いた。また、実績も伴っている。
その理由は、やはりセンター長のビジネスコンサルティングの能力にある。全国にBizが展開し始め、結果を出し始めている理由もそこにある。
 あさご元気産業創生センターのセンター長を全国公募により再公募して、ビジネスコンサルティングとしての相談業務に特化した人材の確保を早期早急に実施されたい。
 また、行政として同様のセンター業務を実施するより、商工会の委託事業として実施した方が、業務の棲み分けをする上でもメリットがあるように考える。
ロ)静岡県藤枝市
 富士市のf-Bizと比較して、既存の産業支援センターが内包している問題点をすべて内在しているとの印象を受けた。その要因の根源は、センター長の不在である。産業コーディネーターの意義は大いにあるし、その人脈で当該センターが持っていると言っても過言ではないが、ビジネスコンサルティングに長けた人材が不在であれば、中小企業診断士などを有する金融機関や公的機関などのこれまでの既存の産業支援センターやコンサルティング会社と何ら変わりはない。
朝来市の場合も、ビジネスコンサルティングという点で同様の問題点を有しているので、全国公募によるセンター長の再選考を必要と考える。
 また、藤枝エコノミックガーデニング推進戦略会議のような無意味な会議も止めるべきである。
 また、朝来市はエコノミックガーデニングをその目標として産業支援に取り組んでいるから、産・学・金・官などのアウトフレームや前述の推進会議など手法など、指向性が強く、形に固執しているので、エコノミックガーデニングの先進自治体が上手くいっていない事や朝来市の元気産業創成センターが機能不全に陥っている事から、エコノミックガーデニングの目標やアウトフレームと手法などを改め一新させる必要があると感じた。
 その一方で、ビジネスプラングランプリや支援メニューポータルサイト、創業支援パンフレットなどは直ぐにでも取り入れられる藤枝市の良策であるので、早期に取り入れられたい。


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