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Channel: 吉田しゅんぺいの議員日記
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平成26年度 開成会・立志会・清正クラブ 視察報告書

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 平成26年8月20日・21日に三会派合同で管外視察を行いましたので下記にその内容をご報告いたします。

1. 視察日及び視察目的
8月20日(水) 長野県佐久市
「世界最高健康都市構想・世界最高健康都市構想実現プランについて」
「新しい保健の推進について」
8月21日(木) 長野県小布施町
 「修景事業について」

2. 各市町の概要
(ア)長野県佐久市
 人口       99,996人(平成26年4月1日現在)
面積        423.99㎢
平均寿命       男81.7歳(全国15位)
女88.0歳(全国19位)
高齢化率        27.2%
高齢者就業率      25.1%(全国20.4%、長野県26.7%)
(イ)長野県小布施町
 人口        11,072人(平成22年国調)
 面積         19.07㎢
 観光入込客  1,116,969人(平成20年度)
 主要産業  果樹を主体とした農業
       600年の歴史を持つ特産の栗を使った栗菓子や栗強飯

3. 視察先の内容
(ア)長野県佐久市
 佐久市が目指す世界最高健康都市構想は市長の公約であり、その実現のために世界最高健康都市構想実現プランを実施している。体系として、基本的方針→施策の方向→主要な施策となっている。目指す「健康な都市」とは、主体である市民を中心にして、市民を取り巻く家族・職場・地域の人々との繋がりや関係が健全であり、個々を取り巻くまちそのものの環境も健やかである都市、のことである。リーディングプロジェクトとして、「市民の健康づくりサポートプロジェクト」、「地域完結型医療構築プロジェクト」、「健やか佐久っ子プロジェクト」、「健康産業・交流促進プロジェクト」と四つのフィールドに分けて、それぞれに対応する事業を展開している。
 ☆「市民の健康づくりサポートプロジェクト(主要事業)」
  ○ 保健活動の評価と地域診断の実施
  ○ 新しい視点での保健活動の展開
  ○ 生涯にわたった食育の推進
  ○ 自殺防止の啓発と相談の充実
  ○ 市民が気軽に運動できる施設の整備
 ☆「地域完結型医療構築プロジェクト」
  ○ 地域中核病院である浅間総合病院の施設整備
  ○ 佐久総合病院の基幹医療センターと地域医療センターの再構築支援
  ○ 病病連携、病診連携の確立と広報啓発活動による市民への周知
  ○ 病病間や病診間での患者情報の交換など医療情報共有の検討
 ☆「健やか佐久っ子プロジェクト」
  ○ 周産期医療・小児科医療体制の更なる充実
  ○ 母子保健に関する各種分野との連携強化
  ○ 口腔ケアの周知と啓発
  ○ 母子保健事業にあたるスタッフのスキル向上と事業の充実
  ○ ニーズに対応した子育て支援ネットワークの充実
  ○ 児童館・保育所の整備
 ☆「健康産業・交流促進プロジェクト」
  ○ 環境、福祉、健康などの連携による新たな産業や技術の創出
  ○ 地域の資源を活かした医療や産業の集積と活性化
  ○ 環境、健康を活用した体験型・着地型観光の推進
  ○ 医療や健康に着目した交流や他の健康都市との交流促進の創出
 旧佐久市は昭和36年に脳卒中死亡率で全国一位となったが、旧佐久市の行政と住民と佐久市立国保浅間総合病院の一体的な取組みの結果、脳卒中死亡率の減少の功績により、昭和51年に保健文化賞を受賞している。
 また佐久市の保健取組みとして、保健補導員会の活動が重要な役割を果たしている。保健補導員の役割は、「住民の健康生活推進のための問題発見者」、「保健福祉行政がスムーズに行きわたるための協力者」、「地域の健康管理の担い手」、「保健師等の業務の良き理解者であり協力者」である。保健補導員の取組みは全県下の取組みでもあり、人選は区長が推薦を行っている。これまでの保健補導員経験者数は延べ25,000人にも上るとのことであった。
 佐久市の特徴としての高齢者就業率が高い理由は、果樹農業を初めとする第一次産業従事者が多い。また、保健師の職員が県下でも高いとのことであった。また介護保険の認定は女性の認定者が多いとのことであった。
 また佐久市の在宅医療・介護の連携体制推進事業の概要ついてであるが、在宅医療介護連携推進の主体を、佐久医師会・佐久市・地域包括支援センター・在宅医療連携拠点の4者とし、①医療介護連携推進協議会の設置、②地域包括ケア実践事業との連携、③在宅医療24時間体制の整備、④急性期病院と介護事業者・施設との連携体制及び信頼関係の構築、⑤地域住民への啓発活動、⑥多職種連携の促進、⑦地域リーダーレベルアップ研修、を展開している。
 佐久市が20年後30年後も世界に誇れる「健康長寿都市」であり続けるためには、現状にある課題を見直し、新しい視点に立った保健活動を展開する必要があるとの判断から世界最高健康都市の構築を目指して新しい保健活動がスタートした。市町村別生命表における佐久市の順位は全国順位で男性15位、女性19位、長野県内順位は男性8位、女性1位となっている。後期高齢者医療制度における医療費の比較(平成23年度)では、佐久市が737,437円で、長野県が783,039円、全国が918,206円となっており、全国平均と比して180,769円も低い結果となっている。
これまでの佐久市の経緯は、医療関係者と市民・行政による「地域医療」、「減塩運動」、「保健補導員」などの取組みにより、健康都市が築いてきた。しかし超高齢社会や少子化・核家族化、生活習慣の多様化により、新しい保健が必要となっており国保のレセプト点検を含めた地区診断(行政区単位での分析)を行った結果、健康に係る新たな課題が見えてきた。また健康に関する二つの研究結果(次世代多目的コホート研究:国立がん研究センター、ソーシャルキャピタルに関する研究;岡山大学)を需要なヒントとして、新しい保健推進検討委員会が設立され、検討の結果、9つの提言がまとめられた。
「佐久市新しい保健の推進」に関する提言書
1. 自分の健康に関心を持ち、健康によい生活習慣を送る人を増やす
2. 長寿食である「ぴんころ食」を推奨し、減塩に心がける人を増やす
3. “佐久市の未来を担う子ども達”の健康と生活習慣に目を向ける
4. 自分に合った運動に“楽しく取り組める人”を増やす
5. 健診を受け、生活習慣の改善を図る若者世代を増やす
6. 寝たきりや認知症にならないように取り組む人を増やす
7. “心の安定”と“人との信頼関係”を築くことができる人を増やす
8. すべての年代の健康を支える地域を高める
9. 「患者」と「医療機関」がお互いに尊重しあい、信頼できる関係を築くことで、医療の安定化につなげる
 新しい視点による保健活動の事業化として、目標は「市民が生涯を通して『豊かな心』と『健やかな身体』を育てるための行動がとれ、20年後30年後も世界に誇れる『健康長寿都市』であり続ける。」とされ、予防活動を最重要テーマとし、新しい視点による保健を展開し市民の健康生活をサポートすることで、すべての世代の市民に対し、ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチによる保健をバランス良く提供する、としている。また事業展開は、「母子保健」、「生活習慣病対策」、「安全・安心の確保」、「普及啓発」の4つのカテゴリーに分け整理がされている。
 ※ハイリスクアプローチ
健康障害を引き起こす危険因子を持つ集団のうち、危険度がより高い者に対して、その危険度を下げるよう働きかけをして病気を予防する方法
 ※ポピュレーションアプローチ
集団全体に対して働きかける方法や環境整備
(イ)長野県小布施町
 小布施町のまちづくりは昭和51年の北斎館の開館から始まる。その目的は、観光に主眼を置くものではなく、当時の北斎ブームによる作品の流出防止、保存と研究のために建設された。その後、昭和57年に第1町並修景事業が実施された。その主体は、住民、金融機関、栗菓子等の事業者、市であった。修景事業は民間が始め、当初は補助金なしで行われていたようである。修景事業における行政は市民を応援する立ち位置であり、コンセプトは「ソトはミンナのモノ、ウチはジブン達のモノ」である。これまでの修景事業の合計額は6億円ぐらいとのことであった。
 平成2年に「うるおいのある美しいまちづくり条例」、うるおいのある美しいまちづくりの実現に著しく寄与していると認められる者に対する助成・表彰制度を盛り込み、まちづくりの推進を図る目的で制定された。
 平成17年に東京理科大学・小布施町まちづくり研究所を開所。
 平成18年に景観行政団体に移行し、「うるおいのある美しいまちづくり条例」を全部改正し、「小布施町景観計画」を策定し、「小布施町屋外広告物条例」を制定している。
 平成21年には、北斎館を中心とした第1町並修景事業地区とは趣を異にした町の新たな拠点の創出を図るため、第2町並修景事業を実施している。
 平成22年に信州大学小布施町地球環境研究所を開所。
 平成23年法政大学・小布施町地域創造研究所を開所。
 平成26年慶応SDM・小布施町ソーシャルデザインセンターを運営。
 小布施町は終始一貫して同一の設計士にまちづくりや建築物の設計に関与して貰っていたが、今年度から競争入札をしているとのことであった。
 また小布施町特産の栗で作ったインターロッキングブロックは安全性の確保等の理由により現在ではカラー舗装に変更しているとのことであった。


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