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Channel: 吉田しゅんぺいの議員日記
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平成27年度9月定例会 本会議討論

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議案第57号 朝来市創生総合戦略の策定について
 本議案は、まち・ひと・しごと創生法第10条に基づき、市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定するものであります。私は反対の立場から討論を行います。
今回の市総合戦略の目標は項立てをされていないので正確には分かりませんが、「本市における、人口減少の克服と、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立を目指すことを目標」とされております。
 その一方で、基本目標は、「朝来市を担い貢献する人財づくり(朝来市の支援制度等を活用して転入した人数128人/年、安心して子どもを産み育てることができると感じる市民の割合50%)、魅力ある多様な生業の機会づくり(創業件数20件、市内宿泊者数132,000人/年)、希望を持ち、心豊かな暮らしを営めるとともに、地域間の連携による特色ある地域づくり(地域自治協議会活動への参画人数1,500人、住みやすいと感じる市民の割合76%)」とされています。しかし、改めて市総合戦略の目標と基本目標(アウトカム)や数値目標の関連性を精査すれば、そこに論理的な関連性を見つけることは困難であります。
 先ず、朝来市が目指すべき将来像や目標が描かれておりません。基本理念に書かれていることは国が示す「まち・ひと・しごと」の単なる一要素である「ひと」に単に焦点を当てただけで、国はそれぞれが相互に作用しあい好循環を生み出すことが重要であると考えているからこそ、「まち・ひと・しごと」という3つの要素を明示しています。また、基本目標は基本的方向(どのような政策を推進していくか)を収斂したものであると同時に、総合戦略が目指し実現すべき市のあるべき姿や将来像を達成するための手段でしかないのであるから、基本目標が市のあるべき姿や将来像と同一でないことは明確であります。つまり、本計画のどこにも朝来市が目指すべき将来像や目標、あるべき姿といったものが描かれていないのであります。
 また、基本目標には住民にもたらされた便益に関する数値目標を設定することになっており、数値目標は基本目標を達成するための本質的な要素を突き詰める必要がありますが、市総合戦略における数値目標は、そうなっておりません。それらの根源的な問題は、単なる検討不足・理解不足だけではなく、基本目標の上位目標であり最上位目標である目指すべき将来像やあるべき姿をテーゼ出来ていない事に起因します。例えば、「ひと」の「支援制度等を利用して転入した数」は、限定した社会増要因でありますが、単純な社会増要因、つまり単純な転入者数に優先する根拠が希薄であります。その一方で、「安心して子どもを産み育てることができると感じる市民の割合」は定性的目標でありますが、この場合は定量的目標に置き換えることが可能であります。また、「しごと」の「創業件数」と「市内宿泊者数」は、部分的に特化した数値目標でしかなく、本来は総体としての「しごと」の全体量や割合を数値化すべきであります。つまり、数値目標としてではなくKPIとして記載されるべきものであると考えます。また、「まち」の「地域自治協議会活動の参画人数」については、地域自治協議会活動が各地区内での活動や消防団活動などをはじめとした地域協働活動の一つでしかなく、ここでは単に行政の思い入れを市民や計画に押し付けているだけの数値目標設定となっております。
 最後に、人口ビジョンにおける分析と、市総合戦略が必要とされる理由に、同一不可分な根拠が必要とされているにも関わらずその根拠が示し切れておりません。人口ビジョンでは、人口の変化が地域の将来に与える影響について、「人口減少社会がもたらす人口構造の変化は、市の財政に大きな影響を及ぼします。生産年齢人口が減少することで、市税が減少する一方、老年人口が増加するため、老人福祉費などの社会保障にかかる扶助費が増大します。」とされています。確かに人口減少は大きな課題であると同時に、最大の要因とも言えます。しかし、その結果については単に歳入歳出の変化に留まりません。つまり、人口減少により、地域経済の縮小と地域活力の衰退が引き起こされることこそが、「まち・ひと・しごと」創生戦略が必要とされる理由であります。ゆえに、人口ビジョンで正確に分析された課題が、市総合戦略においても認識されていなければなりません。補足的に説明を致しますと、人口ビジョンにおいて目指すべき将来の方向として、「合計出生率の向上」を掲げられておりますが、市創生総合戦略の中で数値目標及びKPIにおいてさえ目標化されていないことがその証左であります。また、合計特殊出生率の向上そのものを目標にしていることにも問題がございます。その理由でありますが、合計特殊出生率は「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数」でありますが、その計算式において母数である女性が子数である生まれた子どもに比べ大幅に減少した場合、結果的に子どもの数が減少しているにも関わらず出生率が向上するという逆転現象が生じます。そうならないためにも出生数そのものを目標すべきであります。そして、社会増減±ゼロの達成も目指されています。そこで、封鎖型人口目標の問題点を指摘したいと思います。先ず、人口目標の前提条件は、兵庫県推計の場合には生存率、純移動率、出生率です。また社会保障人口問題研究所推計の場合には生存率、純移動率、女性比です。つまり、生存率や出生率、生存率や女性比の維持・向上は対内的な市民に対しての政策を展開していくこととなります。その一方で、純移動率は市から出ていく社会減と、市に入ってくる社会増から成っていますが、この社会増減が平均して毎年マイナス200人であることから、市を取り巻く高等教育機関や雇用など環境要因で求められる要求を満たされていない市民の方が多い、つまりは翻れば朝来市に魅力がないということになりますが、そうした社会減をゼロにすることが不可能である条件下では社会増を増やして社会増減をゼロにするしかありません。つまり、市外の方が市に転入しやすくなる支援制度や補助制度を市民の方が納税した税金によって行うということになります。しかし、そこにこそ封鎖型人口目標の問題点があるのです。つまり、生存率や出生率、女性比などの市民に直接関係する指標が、純移動率という市外の方を主眼に置いた対外的指標に劣後することこそが、封鎖型人口目標の最大の問題点であり、誤った選択であり、朝来市に住んでいる市民や市民の幸福に目を向けていない証左ではないか、つまり封鎖型人口目標では市民の流出は止まらないと私は指摘します。私は、出生数や女性数、平均寿命に着目し重視して向上させる政策こそ、言い換えれば、市民に目を向け、市民の幸福を考え、市民が満足する政策を市民は求めているのだと私は考えます。
 以上の理由により、議案第57号に反対を致します。

議案第60号 朝来市税条例の一部を改正する条例制定について
本条例一部改正案は、行政手続きにおける個人を識別するための番号の利用等に関する法律の成立に因りまして、利用することが可能となった特定個人情報を用いて地方税情報の管理を行うために、所要の条例の一部改正をするものであります。
 同法は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、かつ、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項等を定めることを目的としています。
 つまり、個人番号を利用することで、税務事務が効率化され、ひいては公平・公正な課税につなげようとする同法の趣旨は多いに理解し賛同できるものであります。また、国民・市民が手続きの簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段を得られるなどのメリットもございます。
 その一方で、個人番号その他の特定個人情報の漏えいが危惧されますが、行政機関個人情報保護法等の特例等について同法第31条で地方公共団体等が保有する特定個人情報の保護を規定し、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適切に行われるとともに、罰則の強化も図られております。
 本案は、以上のような環境整備のもと、市の税務事務の効率化と公平・公正な課税のために必要な条例改正となっております。
 また本市では検討されておりませんが、今後にコンビニでの各種証明書交付サービスや予防接種履歴の記録、健康保険証としての利用や行政からのプッシュ型サービスなど、個人番号カードやマイポータルを利用した独自利用を検討し、市民に更なるメリットのある制度とするよう要請を致しまして、私は議案第60号に賛成を致します。

議案第61号 朝来市手数料徴収条例の一部を改正する条例制定について
 本条例一部改正案は、行政手続きにおける個人を識別するための番号の利用等に関する法律の要請に因りまして、所要の条例の一部改正をするものであります。ここで「法律の要請に因り」と申しますのは、同法第7条第1項及び同法第17条第1項の事務が同法第63条に因りまして法定受託事務とされているからであります。
 法定受託事務とは、国が本来果たすべき役割に係る事務であって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもので、必ず法律・政令により自治体に事務処理が義務付けられているものを言います。
 本案は、通知カードの再交付手数料と個人番号カードの再交付手数料を定めるものであり、法定受託事務として事務執行ができるように条例の一部改正を行うものであり、法律の要請に因り義務的な議決を求められております。
  以上の理由により、私は議案第61号に賛成致します。

議案第63号 朝来市個人情報保護条例の一部を改正する条例制定について
 本条例一部改正案は、行政手続きにおける個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴い、所要の条例の一部改正をするものであります。ここで「法律の施行に伴い」と申しますのは、同法第7条第1項の事務である個人番号の指定を行うことによりに、市が特定個人情報を保有することになるからであります。
 本案は、同法第7条第1項の法定受託事務である個人番号の指定に伴い、市が保有することとなった特定個人情報について、保有特定個人情報以外の保有個人情報の利用及び提供の制限や、保有特定個人情報の利用の制限など、必要な条例整備を行うものであり、本改正を行わなければ特定個人情報を保護することが出来なくなりますので、本改正案は必要な条例改正と言えます。
 以上の理由により、私は議案第63号に賛成致します。

認定第3号 平成26年度朝来市一般会計決算の認定について
 私は、賛成の立場から討論を行います。
 先程、反対討論がありました内容につきまして、少し触れたいと思います。
先ず、但馬空港利用促進事業についてでありますが、平成26年度の利用は677名で、内訳は職員利用が約7割で、市民利用が約3割のようです。正確には公務外利用が殆どのようでありますから職員の負担となっているのは事実であります。その一方で市民利用が約3割あるのも事実であり、本決算認定に際し当該事業の実施をもって否定すれば、市民利用の約3割の方に対する助成金もまた否定することとなります。果たしてそれで良いのでしょうか。また今後に兵庫県や但馬3市2町が東京直行便の実現を目指していることも検討しなければなりませんから、単純な思考をもって単純な結論を導き出すことに対し私は理解が出来ません。
 また、国民健康保険特別会計繰出金に反対がありましたが、国保特会への繰出金は、法定繰出金として総務省自治財政局調整課長通知によるもの、例えば、国保法第72条の3による保険基盤安定制度として国保会計に繰出すもの、低所得者の保険料を軽減するもの、低所得者を多く抱える保険者を支援するもの、国民健康保険の事務の執行に要する経費について国保会計に繰出すもの、国保会計より支出された出産育児一時金額について国保会計に繰出すもの、国保財政の健全化及び保険料負担平準化のための国保財政安定化支援事業として保険者の責に帰すことができない特別事情に着目し算出した額について国保会計に繰出すものがございます。また法定外繰出金として、例えば、保険事業繰出金や乳幼児医療などの福祉施策による医療費の波及増相当額について国保会計に繰出すものが含まれております。つまり、この支出行為を否定することは出産育児一時金の繰出や乳幼児医療などの福祉施策への繰出や低所得者への支援を否定することに他なりません。ですから、国民健康保険特別会計繰出金は非常に重要な繰出金であり否定することは出来ません。
 また、ごみの減量化について、行政マネジメント事務事業シートにごみの減量化に関する活動指標や成果指標がないから反対するといった討論がございました。行政マネジメント事務事業シートには目標値の設定がないといった課題があるのは事実でございますが、もともと全ての行政マネジメント事務事業シートに目標値の設定がございませんから本来は全ての事業に言及されるべきで一部を取り上げるのは単に反対するための理屈づくりでしかありません。また、活動指標や成果指標がない代わりに、環境課からは「可燃ごみの収集量の推移」や「プラ及び紙製容器包装の収集量の推移」の資料が提供され、減量化に対する市の評価は出来る決算資料となっております。また、集団回収に関する活動指標や成果指標はございますから、指摘されているような判断は大きく間違っております。
 以上が、反対討論のありました事項に対する説明でありますが、そもそも論として、決算認定をどのように考えるか、決算の意義という根本的な理解について述べます。そもそも、決算認定は議会が決定した予算が適正に執行されたかどうかを審査するとともに、住民に代わって行政効果を評価し、以後の行財政運営の改善に役立てることにその重要な意義がございます。また、決算が不認定されたとしても、その支出行為に影響を与えることはありません。つまり、決算の不認定は市長に対する政治責任の追及に他なりませんから、法令に違反する支出行為以外を理由とする不認定以外は市民からすれば単なるパフォーマンスでしかありません。先程も申し上げましたが、決算は住民に代わって行政効果を評価し、以後の行財政運営の改善に役立てることこそが重要であり、決算を通じて更なる市民サービスの向上と効率的な行財政運営を市民は求めているのだと私は考えます。そうした意味では本決算認定につきましては、会期中に真剣な決算審査が行われ、適宜適切な意見が市民に代わって付されているものであります。
 以上の理由によりまして、私は認定第3号に賛成を致します。


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