1. 学力日本一について
視察した東成瀬小学校は、探求型授業を行っており、構造的(論理的)板書と構造的(論理的)授業ノート、自主学習ノートがその特徴となっており、小学一年生から中学三年生までの一貫した授業スタイルもまた他では真似の出来ない教育となっている。
ここで構造的板書や構造的授業ノートを論理的と併記した理由は、解答に至るプロセスがロジカルシンキングを養うのに非常に効果的ではないのかと気付いたからである。
東成瀬村の構造的板書は、端的に言えば、「問題→課題(何を問われているか、論旨)→まとめ」として表現できる。従来の授業は「問題→答え」しか示されていないので、何が問題とされているのか分からないという欠陥があったが、それを補っているのが「課題」である。課題は、何が問題とされているのか、分かり易く説明するものである。そのことで、問題を読んで、その問題の論旨を考える力を養い、論理的思考力を身に付けさせている点が、子ども達の理解力や読解力が非常に優れている理由ではないかと推察できる。
一般的に、教育と学力を区別して、それぞれを使い分け・言い分けているが、学力とは教育の一番分かり易い目安である。教育とは、知力、心力、体力を養うものではあるが、それぞれが伸長させることこそが教育の理想であり、「教育とは学力だけではない」と簡単に断じて、学力の伸長から逃げている現状の教育だけでは決して学力の向上は在り得ない。
東成瀬村の自学ノートは2007年か2008年あたりから実施され、ぐるぐるノートや授業ノートは2013年から実施され、構造的な板書も2013年から実施され、2008年には東成瀬村中学校が秋田県で学力一位になっているおりそれ以降もその傾向が続いていることから、学力を中期間(5年程度)で伸長させることは可能である。翻って、5年間で学力を向上させることのできない教育は誤った教育を実施している可能性が高いことから、早めに方向修正をしなければならない。そのことが出来ないから、全国の殆どの学校が学力を向上させることの出来ない大きな原因となっているであろうことは簡単に推察出来る。
朝来市の学力は、読解力や理系分野が県下平均より劣っており、平成26年度くらいから実施しているUD(ユニバーサルデザイン)教育の成果が学力に及んでいない事実から、改めて学力を向上させる教育を実施する必要がある。
具体的には、東成瀬村の教育スタイルである探求型授業を取り入れ、市内全校ではなく市内でのモデル校を指定して実施し、その効果を5年間で総括する。その後は、効果を確認して全校実施へと移行していく。そうしたことで子どもの可能性を最大限に伸長させることが可能となる教育を朝来市は目指していくべきであると確信した、今回の視察は私の目標の一つが非常に明確となった視察となった。
2. ねぎ課について
JAあきた白神の白神ねぎは、平成10年には2.5億円の販売額であったものが、平成20年には7.9億円(3.16倍)、平成30年には15.2億円(6.08倍)と20年間で飛躍的に拡大・成長をさせた成功事例である。
ねぎ課は平成30年4月から新設されたが、時系列から「ねぎ課」と白神ねぎの成功とは全く関連がなく、ねぎの振興が成功したことを受けて、新設されたと理解すべきである。
その成功の要因は、平成31年度予算での重点推進事業167,710,000円からも分かるように、農業振興に多くの補助メニューや予算を投入している点である。
また、白神ねぎの作付面積(ha):A、出荷量(t):B、販売額(億円):C、との相関関係から、その増加率はC≒A×Bとなっていることから、作付面積と出荷量を増やすことがねぎの振興に必要となっていることが分かる。
その一方で、白神ねぎは、白ねぎであり50cmに切り揃えていること、規格がJAからの出荷をしていることと白ねぎ部分が30cm以上であることだけであり他の規格がないこと、単一品種ではなく多品種でも白神ねぎと名乗れること、夏ねぎ・秋冬ねぎ・雪中ねぎと収穫期間が長く周年栽培となっていること、などから、朝来市の岩津ねぎとは大きくその扱いが違った。
今後の岩津ねぎの振興を考える上で、作付面積と出荷量の拡大が必要であることが分かった一方で、白神ねぎとは同じように振興が出来ないことから、どの様に岩津ねぎの振興や作付面積の拡大を図るべきなのか、その解答やヒントが分からなかった。
岩津ねぎのこれまでの、単一品種、厳しい規格、出荷期間の限定などは変えることが出来ないであろうことから、今後もその方向性を模索し続ける危険性を感じる視察となった。
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東成瀬村・能代市 視察私感
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